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冬の日は落ちるのが早くて、まだ夜は長かった。
暦を見たら、今日は12月24日だった。

こっちの世界ともとの世界では暦が少し違っているけど、なんとなく風の冷たさは同じだった。いつもならもう冬休みで、彩やかなとショッピングに出かけたりしていた。街中はきらきらしていて、賑やかで。家に帰ったら、お母さんがごちそうを用意していて、私と弟がケーキを受け取りに行っていた。お父さんが帰ってきてからみんなでプレゼントを交換した。……みんな、元気かな。

(会いたくなっちゃった。ちょっと寂しいな…)

孟徳さんが、暦を見つめる私を背中からぎゅっと抱きしめる。

「花ちゃん、なんか、あった?」

「あ、大したことじゃないんです。今日は、もとの世界だとクリスマスイブっていって、んーっと年中行事みたいな感じかな」

「ふうん、君はそれが楽しみだったのかな」

「孟徳さんにはわかっちゃいますね」

そういって、私はクリスマスのことを説明した。自分の国の多くの人が信じているわけではない宗教の行事を楽しむのは孟徳さんには不思議だったようだ。でも、楽しそうにその様子を尋ねてくるから、きらきらしていて、温かくて、楽しいことを話していたら、私も楽しくなってきた。

「……恋人と、過ごす人もいるんだ」

孟徳さんが得意げな顔になる。

「君が恋人とそのクリスマスイブを過ごすのは初めてのことになるんだね」

「そう、いうことになりますね」

ちょっと照れてしまってぎこちなくなる。

「じゃあ、今日は特別なことをしよう。君がもといた世界と同じじゃないけど、部屋の中にたくさんの灯りを点けよう、ちょっと待っていて」

そういうと孟徳さんは城のなかからありったけの油燈を集めてきた。
それの一つ一つに灯りをともして部屋中に飾ると、見慣れた部屋がきらきらした。

もといた世界で見慣れたイルミネーションも綺麗だったけれど、火が燃える灯りはゆらゆら瞬いて、星のよう。私も、この世界でしばらく過ごしたから、油燈は高価なものと知っている。それをこんなに集めてきてくれる孟徳さんの気持ちがすごくうれしかった。

「きれい、ですね」

「気に入ってくれた?」

「はい!ありがとうございます。孟徳さんの衣は赤いから、サンタクロースみたいです」


「君の願いはいつだって叶えてあげるよ。ほかに欲しいものはある?」

「この灯りと……孟徳さんがいてくれたらそれで叶います」

「欲がないなあ。君が俺といるクリスマスイブが好きになってくれるように今夜はずっと抱きしめてる」

柔らかな灯に揺れるなか、私たちは唇を重ねた。
灯りのまたたきの数と同じくらいに何度も。

孟徳さんの腕の中で甘い睦言を交わしながらうとうとと眠ってしまった。

孟徳さんはうちのダイニングに普通に座っていて、お父さんと楽しそうにお酒を飲んで、お母さんのごちそうを美味しそうに食べていた。弟は姉ちゃんにはもったいないちゃんとした人だと言うし、お母さんは「良い人連れてきたわね、大事にしてもらいなさい」って言っていた。きっと孟徳さんなら、うちに来ても和やかにいっしょにごはんができる。

夢かもしれないし、本当に孟徳さんがサンタクロースみたいに願いをかなえて、あっちの世界につながったのかもしれない。

夢から覚めて、私を腕枕している孟徳さんの頬に、そっとありがとうのキスをした。

―――――――――――Merry Christmas!








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