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pixiv今日のお題は『傘』でした。
いま、ここに上げてるSSのなかだと誰ソ彼かなって感じで書いてみました。
でも華ヤカでもいけたかも。
思いついたらそのうち書きます。
恋戦記はあの時代の傘がどうだったのかから調べ始めるので即興は厳しい(笑)

うちのあとねこはくっつくようなくっつかないような…
糖度は公式に準じているのでこのもどかしさを味わっていだたければ幸いデス


早く寝ないと明日がつらいw
ではまた。



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台風が近づいてきたせいで昨日から雨が続いていた。


サックスを吹くときに指先が冷えるからあまり雨は好きではない。




今日は音子ちゃんとの打ち合わせで次のライブをやる店の近くの駅で待ち合わせだ。


帰宅時の人並みを眺めていると、ひときわカラフルで目を引く小柄な女の子が見える。




待ち合わせで音子ちゃんを見つけるのは簡単だ。


当の音子ちゃんは小柄なので視界が悪いらしく、改札正面の待ち合わせなのに混雑に流されて出口に向かっていた。




「音子ちゃん」




追いついて声をかける。




「あ、阿鳥パイセンここにいたんすか」




「ここにじゃないよ、中央改札正面っていったでしょ、こっち西口方向」




「あれー、周り見えにくくて流れに沿ってたらついー」




音子ちゃんはにたっと笑う。なんだろう、音子ちゃんの笑顔って何かを思い出す。




「それに、パイセンが見つけてくれると思ってましたし」




見透かされているようだ。


この自信はどこから来るのか。


そしてそれに腹が立つわけでもない俺もどうかと思う。




とりあえず、はぐれないように背中に軽く手を添えてライブハウスのある東口に向かう。


湿気を孕んだ冷たい風で冷えていた指先に、音子ちゃんの体温が感じられた。


まるで、思春期男子のように添えた手をひっこめるわけにもいかず、かといってそのままにしていいのか迷っていた。


西口までの数分のことだ。




駅構内から外に出る人たちはポンと音を立てながら傘を開いて夜の街へと歩いていく。


この混雑から解放されるので気が緩んだ。




「傘の花みたいだ」




「情緒豊かな発言はさすがパイセンです…」




音子ちゃんはそういうと、自分のカラフルな傘を開いた。




雨の夜の繁華街の歩道は傘を持った人がすれ違うには狭く、俺たち二人が並んで歩くと、向こうから来る人に道を譲って前後にずれたりすることになり、話がとぎれとぎれになる。




並んでも音子ちゃんの傘のほうが低いから、顔を見て話そうとすると音子ちゃんの傘が俺の肩をかすめる。




最初の信号で、音子ちゃんはくるっと振り返った。




「話しにくいからパイセンの傘に入れてください」




そういうと音子ちゃんは、にたっとわらって、濃いピンクと紫の縞々の傘を閉じた。


その色合いと、にたっとわらった笑顔で思い出した。


アリスに出てくるあの猫だ。


トリッキーなところも音子ちゃんぽい。




そのネコは俺の傘にスッと入ってきて並んで歩く。




俺はいつから猫派になったんだろう。




音子ちゃん側に傾けた傘の滴が肩にかからないよう目の端で見届けながら、雨の街を歩く。


この距離にいられるなら雨も悪くない気がしてきた。

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pixivに通知がきてて嬉しくて見に行くと今日のお題が「花びら」でした。

ここで書いてるいろんなカプのシーンが走馬灯のように駆け巡ったんですけど、その中から今回は、あとねこを書いてみました。

コインがなかなか貯まんなくて、まだ制作秘話とスチルのフルコンプまでほど遠いw
モチベ維持の意味もこめて、あとねこにしてみました。

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 音子ちゃんが企画したライブで俺は人前で久しぶりにサックスを吹いた。葛藤の末に手を触れなくなったサックスだったけれど、自分でも拍子抜けするくらいに気持ちよく音に自分を委ねられた。評判は上々で、あれから何度か音子ちゃんが嬉々としてライブの企画を俺に持ち込んできた。次の休みが合うところで、打ち合わせをすることになった。

 2月の関東は良く晴れて空気が冷たい。俺は自分が生まれた月だからか、この冷たい風は割と好きだ。駅から待ち合わせの喫茶店に向かう途中、道路脇の梅から紅い花びらが舞い落ちてきた。つかまえて掌に丸い花びらを乗せる。顔を上げると梅の香もする。日本の冬って感じがするな…と感慨にふけっていたら背中をどつかれ、音子ちゃんの声がする。

「阿鳥パイセン、何センチメンタルに見上げちゃってるんですか」

情緒も雰囲気もない登場の仕方が音子ちゃんらしい。アルバイトの時に会ったよりは少し大人っぽくなったような気もするけど、相変わらず個性的な雰囲気で、敬礼しながら俺を見上げている。

「……なんだ音子ちゃんか。梅の花がきれいだったんだよ」

「うーむ。さすが阿鳥パイセン。花を見上げてるだけで絵になる」

音子ちゃんはそういうとうんうんと一人頷いていた。

俺よりだいぶん小さい音子ちゃんと歩調を合わせるのにゆっくりになる。最初はなんだか落ち着かなかったけれど、最近はそのゆっくり加減はそう悪くない気がしていた。先週は俺の誕生日かつバレンタインで、チョコレートやプレゼントを渡してくれる女性もいた。今年は何となく受け取らなかった。俺の外見とか雰囲気だけで、俺のことは見えてない好意が重たく感じられるようになったんだと思う。だけど、音子ちゃんのさっきのセリフはそんなに嫌じゃないと思うのはどうしてなんだろうか。

「相変わらず会話がかみ合ってない気がする」

「ええ、そうですか」

「花がきれいっていう話をしてたけど、なんで俺の話になっちゃうの」

「うーん、なんででしょう。まあ細かいことは気にしない、気にしない」

こんなふうにだいたい音子ちゃんのペースになる。まあ、それもいいか。
俺は掌にのっていた紅い梅の花びらを音子ちゃんの鼻のてっぺんに乗せた。

「うあ、なにすんですか、パイセン」

「梅の香くらい楽しんでみれば」

「私だってふうりゅうを解するココロくらいはもってますよう」

「じゃあさ、音子ちゃん、桜が咲いたら川沿いを歩いてみようか」

「へ?歩くだけ?」

「そう、打ち合わせとかの目的とかじゃなくて、歩くだけ」

「へへ、なんか、照れる気がしますね」

そういって音子ちゃんは少しだけ頬を染めて笑って、たたっと前を行って喫茶店のドアを開けた。

桜のころにはライブも終わってる。

きっと目的もなく、俺たちは並んで歩く。

それは、とても、やわらかな時間になる。



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特別ストーリー第五話後の大外視点SSです。未読の方は是非読んでからどうぞ。
登場人物は彼、彼女、あの人たちと敢えて伏せました。
こういうひねた人、つい、書きたくなっちゃうんですよね。
作者様に敬意をこめて。

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