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いつものように二人で薬草を探しに出かけた。
初夏の日差しの中、蓮華が一面に広がっていた。小さいころ花を摘まんで蜜を吸った。ふと懐かしくなって、早安を呼び止めて蓮華のじゅうたんに腰を下ろした。
「この花の蜜、小さいころよく吸ってたんだ」
私はそう言ってやってみせる。
「そういえば、俺も母親に教えられたような気がする……」
早安は私の横で仰向けになって、手に取った蓮華を太陽にかざして眩しそうに眺めていた。一瞬だけ切なそうな表情になったような気がした。
「あったかくて気持ちいいな。眠くなってきた。花、膝貸して」
ころんと寝返りをうって頭を膝にのせてくる。
早安はにっと笑って、私の顔を腕で引き寄せて花びらがふれるようなキスをした。
すぅ……と寝息が聞こえる。
柔らかな前髪を撫でてみる。
気づいているのだろうけど、起きない。
前よりぐっすり眠るようになってるんだと思う。
安心してくれるようになったのかな。
何となく嬉しくなる。
気づいているのだろうけど、起きない。
前よりぐっすり眠るようになってるんだと思う。
安心してくれるようになったのかな。
何となく嬉しくなる。
きらきらと陽光に映える金色の髪が風でふわふわ揺れる。
まつ毛はきっと私より長い。
早安を膝枕して、蓮華の冠を編む。きっと早安に似合う。
手の届く範囲だから小さくして花を多めに編みこんでいくといい感じの花冠ができあがっていく。
完成するころに、早安が目を覚ました。
「なんか……いいな…。こういうの」
照れたような笑顔を見せて、私の手を握る。
絡めた指が穏やかに私の手の甲を撫でる。
「うん」
早安は体を起こし、私の頬に触れる。
「ずっとこんな風に一緒にいような。俺がじいさんで花がばあさんになっても」
私は編みこんだ花冠を早安の頭に載せる。思った通り金色の髪と蓮華の色が似合う。
二人だけの戴冠式。
一緒に生きていく大切な人へ贈る花冠。
一緒に生きていく大切な人へ贈る花冠。
「約束ね」
「ああ」
誓いのキスをする。
永遠に愛し合う約束の。
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